こちらでは、視覚障害の方々が触覚書道*で書いた作品をご紹介します。
*小筆に特殊な液をつけて発泡スチロールに書くことにより、すぐに凹んで手で触りながら書けるものです。乾いてから彩色を施しています。
第1期触覚書道刻字講座修了作品
修了作品は2点作成しました。
そのうち1点を第2回『眼と指で楽しむ 書の彫刻』展 に出品いたしました。
展覧会出品作には作者の方々の思いのこもったコメントがついています。
【K.K.さん】
祭のイメージから”思い出”を連想しました。
触覚書道に出会えて、作品をこうして出品することが自分にとっての思い出になっているので、この字に決めました。
この字は人が集まるイメージがあるので赤にしました。
【Kご夫妻共作】
降り積もった雪の静けさとその雪の反射で夜でも周囲がほの明るく見えるという幻想的な景色が大好きなので、その景色を想像しながらこの文字を書きました。
雪の夜のキンと冷えた空気感が伝わればうれしいです。
”雪”はゴールドで、”明り”はピンクで塗りました。
【M.K.さん】
自分の名前に含まれている漢字なので調べてみたところ、この文字は「糸巻」を表しており、「筋道をきちんと立てる」というような意味があることを知りました。
1画1画丁寧に、まっすぐな気持ちを表現すべく、この文字を選びました。
一番好きな色である紫で仕上げました。
【R.H.さん】
心を込めて書いたと言えればよいのですが実はそんな余裕は全くなく、ただ先生のご指導のとおりに文字を書くことに集中していました。
字というのは教わるとちゃんとうまくなるものだ、ということを初めて実感することができた、私にとって大切な一文字となりました。
”心”字の中にゴールドのマーカーで彩色しました。
【S.K.さん】
可愛い孫の名前の一文字です。バランスを取るのが難しくて、一生懸命練習しました。
孫の奏美の好きな色は青で、その理由は「青い空を見ると夢が一杯になるから」
新緑の頃に書いたので、その青空に映える若草色にしました。
【A.Y.さん】
娘の名前の一字です。30年ぶりに持てた筆。
感激のこの時を
我が子を想いながら。
もうすぐ嫁ぐ娘へ。
幸=暖かい=ピンク というイメージです。
私が好きな色でもあるので、サインもピンクにしました。
【T.H.さん】
家族の名前に使われているので書いてみたということと、どっしりした感じが気にいって選びました。
色は、緑は自然の色、平和の色というイメージで好きな色なので選びました。
【M.I.さん】
「心」と言う字を講座で習ったのでこの字を使った言葉・字を書きたいと思いました。
また私事ですが、ひょんなことから出会えた方がこの字のお名前で、その出会えたことへの感謝として残したいと思い選びました。
ブルーで着色しています。ブルーは広大・誠実・自由と言うイメージがあるのと気持ちを落ち着かせたり集中力を高めるということを聞いて、日常的に「文字を書く」ということがない私にとっては「作品にする」という作業はハードルが高かったので、少しでも集中力が高まればということから選びました.
【H.S.さん】
もともと音楽が大好きで、これから楽器を始めようと思っています。音は、視覚障害者には、とってもとっても大切なものという思いもあります。
色々な色を使ってとってもカラフルにできたようなので、楽しそうな感じがします。
最後に左下にト音記号を書き加えました。
【E.N.さん】
戦争の無い、世界平和を願って、一生懸命書きました。
”平和”という字の中を緑のマーカーで塗り、その周りを金色で縁取りしました。
第2回『眼と指で楽しむ 書の彫刻』展 の会場の模様はこちらの動画でご覧いただけます。
(音楽が流れます)