物質・材料研究機構の石井真史先生が触覚書道刻字協会本部にお越しになりました!
10月末に突然、物質・材料研究機構の石井真史先生からメールをいただきました。
主旨としては、
石井先生が「さわれる漢字辞書」というものを開発され、漢字の成り立ちや字の美しさを電子デバイスを使って触覚で知る、漢字文化の入口を提供するものに仕上がっていて、文字を楽しむ点で、当協会と接点があると感じ、文字の表現についてお話を伺い触覚書道を体験してみたい
とのことでした。
ちょうど10月に開催されたサイトワールドで、当協会の立ち上げから協力を仰いでいる川嶋ご夫妻が「さわれる漢字辞書」に触れ、その折に触覚書道をやっているというお話をしたとのこと
やっとつながりました!
さっそくに石井先生に返信したところ、
”「科学へジャンプ」のサマースクールで、発泡スチロールトレーをリモネンで減容して、さらに別の薬品で発泡スチロールを再生するというリサイクルの模擬実験をやるにあたって関連技術を調査していた時に触覚書道の取り組みを知り、今回のサイトワールドで繋がった”
ということでした。
それから話はトントンと進み、11月7日に筑波からわざわざ世田谷の触覚書道刻字協会本部まで足を運んでいただきました。
まずは当協会発足のきっかけとなった私の行書体の刻字作品 ”妙” や、光を失った書家三上栖蘭の失明後に揮毫した書作品を凸印刷カレンダーに仕上げたもの を触っていただきました。


次に、触覚書道で字を書いていただきました。
石井先生は5年ぐらい前に完全に失明されたとのことで、書道の筆法を含む永字八法で知られる「永」という字をさらりと書き上げられました。

「思ったよりも書道のハネや払いがちゃんと出るんですね」 と言っていただけました。
今度は、先生が開発された
Dot Inc.のDot Padを使った「さわれる漢字辞書」
を私が体験させていただく番です。
通常のパソコンに漢字を入力し、その情報をBluetoothで2400ドットからなるDot Padに飛ばして、凸か凹で漢字を触れる形に表示します。フォントを変えたり、漢字を分解して表示することもできるということで、いろいろ触らせていただきました。

体験後、石井先生からは以下のような感想をいただきました。
”文字の文化を、「さわれる漢字辞書」のような道具を介して知ることはとても楽しいですが、やはり実際に視覚障碍者自身が手を動かして、触覚書道で字を自ら知ることが第一と思います。そのあとに、本当の書道に触れることを如何に可能にして手軽にするかがあると思います。触覚書道と同期して、サポートする文化的な活動ができればと思ってます。”
超アナログな活動をしている当協会にとって、石井先生とコラボできることは願ってもないことです。
視覚障がいの方が漢字を楽しく学び、自己表現の手段として使うことができるような新しい手法をご一緒に探求していければと思っております。
これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。
なお、石井先生がこれまでに主催されたイベント情報はこちらからダウンロードいただけます。

