触覚書道を“触れる展示”に―3Dレプリカへの挑戦

触覚書道刻字協会は、来年の3月から6月に大阪の国立民族学博物館で開催される特別展
「触覚を取り戻せ!―深化し続けるユニバーサル・ミュージアム」
に刻字と触覚書道作品で参加させていただくことになりました。

〈これまでの経緯〉
大きなイベントに参加できるなんてと喜んでばかりはいられず、ここで問題発生です。
刻字は木に彫ったものなので多くの方に触っていただいても大丈夫なのですが、発泡スチロールは破損しやすいので、展示が難しいと言われてしまったのです。

そこで、3種類の樹脂でコーティングを試みました。しかし、縁の指ざわりが尖って痛みを感じるうえ、内部は発泡スチロールのままのため、十分な仕上がりとは言えませんでした。

この悩みを刻字のお仲間に相談したところ、なんとその方はろう学校の先生で大学の専攻は彫塑。3Dでレプリカを使ってはどうかとのアイデアをいただきました。相談してみるものですね。

近年は3Dプリンターも身近になっていますが、まず必要なのは3Dデータ化です。そこで、ふれる博物館の知り合いの学芸員の方に相談したところ、新潟大学の渡辺哲也先生をご紹介いただきました。

渡辺先生は触地図などの研究をされており、突然のお願いにもかかわらず快く引き受けてくださいました。そしてまず試作品を制作していただきました。

この試作品が、発泡スチロールの質感まで再現された想像以上の仕上がりで、特別展を企画されている広瀬浩二郎先生にご覧いただいたところ、「これなら展示可能」とのお墨付きをいただきました。

(写真:左が発泡スチロールの現物、右が3D印刷したレプリカ)

ここれで、ようやく展示の具体的なイメージが見えてきました。

〈新潟訪問〉

4月中旬、新潟で開催された刻字展に協賛出品していたこともあり、その足で新潟大学を訪問しました。

刻字の展覧会の模様はこちらから
↓ ↓ ↓

刻字展会場となっているNST新潟放送本社からタクシーで約30分、正門から入いって西へ西へと進み、工学部棟に到着

工学部棟の5階からは日本海が臨めます。

渡辺研究室に近づくと、なんと事前にお送りしていた刻字展のチラシを拡大して掲示してくださっており、感激しました。

渡辺先生には、新学年がはじまり授業でお忙しい中、時間を作っていただきました。

まずは触覚書道を実際に体験していただきました。「丸」の字を書かれました。

続いて、3Dデータ化のためのスキャン作業を見学。機材はコンパクトながら、非常に手間のかかる工程であることを目の当たりにし、改めてこの取り組みを引き受けていただいたことへの感謝の気持ちが深まりました。

レプリカの出力には時間がかかるということで、ここまでで失礼しました。

帰りは最寄りの越後線内野駅まで15分ほどあるき、電車で新潟まで戻りました。

今後は、実際に視覚障害の方々に書いていただいた作品をお送りし、レプリカ制作をお願いする予定です。

このご縁に、心から感謝しています。

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